ナナに別れを告げてからの俺は中学以来になげやりになっていた。

中学の頃、俺は荒れまくる正統派ヤンキーだった。
下級生たちにはビビられ、下手すると同級生にまで一歩引かれ、ヤンキー仲間とつるんでた。
その中に若き日のシュンもいるんだけど…。

そして
もうひとり、タクトという奴がいた。
実はこいつ俺らの1コ上なんだけど異例の留年で俺らとタメになっちゃった先輩。

でも他の奴等と変わらず仲良くつるんでた。
それにタクトとは価値観がとても合った。

シュンとの付き合いが『太陽』ならタクトとの付き合いは『月』。

シュンとは『動』ならタクトとは『静』。


心の奥底の見えない部分まで自然と解け出し混ざるような。
そんな見えないところが共通してる気がしてた。
魂ってやつかな。


タクトとはシュンの葬儀のとき少しだけ会ったがその後連絡もしていない。

さっきも言ったように仲が悪いわけではない。
本当に用事がなければ連絡も取らない。

心が通じてるという自信もそこにはあるのかもしれない。

大人になりゃ男なんてそんなもんだ。