小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

「お願い…!!この子を見殺しにするの!?シュンが私に遺してくれたこの子を…!!」



それは…わかるよ。

十二分にわかってる。

俺だってそう思う。


でも…



ナナのことが頭をぐるぐると回る。

ナナへの想い。
ようやく本物の恋に辿り着いたと思ったのに。

この想い、貫きたい。
ナナを守りたい…。
そばにいてやりたい。
淋しそうな瞳もあどけない声も…。


でも…―――。


シュンの子供。
シュンの生まれ変わりのような気がするんだ。

そして何の罪もない命…。

それを見殺しに出来るのか…!?


出来るわけないじゃねぇか…。



……ナナ……。

ナナ…俺はもうお前に気持ちを伝えることさえ出来ない…。


…ナナ…大好きだった。

始まってもいないのに終わる恋。

お前のこと守りたかったよ…
お前にとって俺って何だった…!?


ナナ…



「…わかった。」



俺は自分の想いを捨てることを決意した。