小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

「私、そんなのイヤ!!生きてるのに…シュンの命生きてるのに…!」


ナナコの泣き声はいっそう大きくなる。


「…俺だって…」



そう言いつつ…

ナナコの両親の言うことも冷静になればわからなくもない。

俺だってシュンの子供に会いたいよ。

…でも…

それはエゴなのか?

父親のいない子供を生むことは親のエゴでしかないのか…!?


そんなこと、ないよな…?
宿ったかけがえのない命。
産まれ出て幸せになる権利がある。


親がいないという理由は命を消される赤ちゃんにとって理由として成り立つか?
赤ちゃんは“それでも生きたい。太陽の光を浴びたい。”そう願っているかも知れないじゃないか…!



「ねぇ!産みたいの!どうしても産みたいの!助けて…ハルトくん…!」



すがるようなナナコの声に俺はただそれを聞いていることしかできなかった。



「ハルトくんも産んで欲しい?シュンの子供に会いたい…?」


「あぁ。」


「そうだよね?ねぇ、お願い!助けてくれる?シュンの子供産むために協力してくれる…!?」


「…もちろん…出来ることなら協力するよ。」