「ゴメン…」


真夜中にも関わらずすぐに電話に出てくれたナナ…。
きっと俺からの連絡を待っていたのだろう…。


沈んだ声。
今にも泣き出しそうな小さな声…。


「もう…いいよ…」


俺は怯えてた。
ナナを失うことに。

“もういい”って…ホントにいいのか?
いいわけない。



この俺が…
去るもの追わずのたらしの俺が…。

怖くて。
失うのがコワイ。

こんなこと思ったの初めてだった。


大切にしたい。


そう思うのは…
ひょっとして…シュンの影響…!?


お前、俺にとりついてんだろ?

…な〜んて思ってしまう俺。
これは冗談だけど…



ナナ、大切にしたいと思った初めての女の子。



小さな犬みたいなナナ…。


……全然、好みじゃないはずなんだけどな…。


……俺はセクシーな女が好きだし。



「じゃあ明日な!」

「…ウン。」


明日1日遅れの誕生日をしようと誘ったけれど…
明日じゃ、意味ねぇよな…。


ホント、ごめんな…ナナ…。