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また目を見合わせうなずくとメールを開く。



【ダレって酷いなぁ。でもちゃんと名前入れなくてゴメン!ハルトです】




───ハルト。


私はこの日、

一生忘れられない名前を知った。


優しくて温かいあなた。

この時…

ううん、初めてのメールの時からハルト、あなたは優しさにあふれてたよね。


たとえ、


私に向けた優しさじゃなくても‥‥。






「これ、間違えてるね‥‥きっと。」


私はメールを読むとつぶやいた。


マユもうなずく。


「ちゃんと間違いを教えたほうがいいよ?その“ハルト”クンと“ナナ”ちゃんのためにも。」


「うん‥‥」


そう言ってメールを打った。

───でも、
私は教えなかった。



私が“ハルト”くんの言う“ナナ”ちゃんじゃないってコト。


だって‥‥


この人なら私を救ってくれる気がしたから───。


私をこの暗闇から救い出してくれるヒーローみたいな気がしたから…。


だから私は“ナナ”ちゃんのふりをしたんだ‥‥。



【ううん。こちらこそゴメンね ナナ】




こうして私たちは始まった───。