「‥‥っ!」


急に頭の中が真っ白になる。


アレ?

アレレ‥?


「‥ナナ‥?」


ヤヨが驚いて肩を揺さぶる。


「‥あっ‥ごめ‥」


アレレ?


おかしいな‥。
封印したはずの涙が、


溢れ出す‥。


カードに書かれていた言葉。


それは‥




《花嫁さん》



花嫁‥?


結婚‥?


そんなのって‥。


私は弾かれたように教室を飛び出した。


走りながら思い出す‥


いや‥


思い出す、なんて難しいこともなくただ流れ出す言葉。


ハルトの言葉。

ハルトのメール。



「‥ナッ!ナナッ!!」


後ろからサトルの声‥。


追い掛けて来てくれたんだ‥。


でもこんな顔、見せれないよ。

サトルには甘えないって、

サトルにこれ以上頼らないって、


決めたのに



───決めたのに‥‥


サトル、こんな顔見たら‥また優しくしてくれるでしょ‥?


私‥優しくされる資格なんかない‥。


グイッ!


その時サトルの細い腕が私をしっかりと捕まえた。