「ナナ〜っ!!遅いよっ!」


ちょうどお昼休みに登校した私にマユが抱き着く。


「ごめんっ!」


私は少し笑って手を合わせた。


にやり。


マユが笑う。


やっぱりね‥やっぱり笑った!


学校につくまでの間、サトルと賭けてたんだ。

私たちが二人で遅刻して登校したらきっとマユ怪しんで喜んで笑うよ、って。


賭けてた、
なんて言ったけど実は私もサトルも「マユは笑うだろ」って言ってて賭けになんてならなかったけどね‥。


「ちょっとちょっとぉ〜!なになになに〜?ん〜?」


マユは昨日のことなんて忘れちゃったかのように私のお腹をつつく。



「マユっ!‥ちょっとくすぐったいよ〜っ!」


「どぉいうこと?どぉいうことぉ?」


マユはニコニコして追及してくる。
ほんと手強い。

「だから、これは‥」
私が話し出そうとするとサトルが割って入ってきた。


「俺達みんな仲間じゃん!だから相談に乗ってただけっ!」


サトルはさらりと言うと自分の席につく。


「あ‥そうなの?」


マユは気が抜けた様子でサトルを見送ると、
もう一度私に意味深に微笑みかけたのだった。