小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

「ナナ〜!どした?サボる?」


サトルがオロオロして私の顔を覗き込む。


サトルにだけは‥

サトルの優しさにだけは、

甘えちゃだめなのに‥。



なのに‥



ズルい私はサトルに甘えてしまった。



「泣き虫ナナ!今日はサボりに付き合ってやるよっ!」


サトルはそういって私の手をひくと学校に背を向けた。


さりげなく生徒の波をくぐり抜けて、

もちろん

しっかりと先生の目もくぐり抜けて。



校門を出たところで私たちは走り出した。


なにもかも

忘れたくて。



全部




消したくて。



ゴメンね…サトル。



ゴメンね…