小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜

「おはよ!」


学校に着いて一番初めに声をかけてくれたのはサトルだった。


偶然に校門のところで会って校庭を並んで一緒に歩いた。

なんだかちょっぴり皮肉な気分‥。


ねぇサトル‥私フラれちゃったよ‥。


心の中でそうつぶやいてみる。


───だからなに?


自分の中で自分が反論する。


もうサトルには関係ないじゃん!

あんたが振られたことなんて‥──。


自分の心の中で何人もの自分が言い争う。


「最近どーよっ!?」


「‥え?」


心の中を見透かされたかのようにタイミングよくサトルが言う。


「‥うん。まぁ‥」


情けない歯切れの悪い言葉。


頼っちゃダメ!

絶対に頼ったりしたらダメ!!


サトルにだけは‥


言っちゃダメ‥!!


頭ではわかってるのに体が嘘をつけない。


「ナナ‥?」


サトルがビックリして内履きにのばした手を止める。


「‥おい‥」


「‥っ‥」


涙が止まらなくて。

迷惑だってわかってるのに‥

頼っちゃダメだってわかってるのに‥

涙止まんないよ‥