そのサインをお母さんは受け止めようとしてくれてたんだと思う。


甘えさせてくれたり、

抱きしめてくれたり、


でも満たされきらない私。


ある日曜日、
赤ちゃんだったチカが急に熱を出した。

慌てて当番医を探し、お母さんはチカを病院に連れて行った。


「お父さんといい子におるすばんしててね?」


お母さんは私の頭を撫で、
オトウサンに
「ナナのこと、お願いね」
と念をおし出かけた。


8才の私はまたジレンマに襲われる。

なんでお母さんがちーちゃんを病院に連れていくの?
私だって日曜日、ママといたいのに。


小さな私にイライラが募る。

子供だってイライラするしストレスも感じる。


つまらない!


つまらないっ!


私はこの時まではオトウサンを…無条件に信じていた。

私には優しい、って。

我が儘言っても許してくれる、って。


───でも、


違った‥‥。