「ハルトが女の人と歩いてるの見て、すごくショックだった。でもハルトが元気で嬉しかった。怪我したり病気してたりしなくて本当よかったって思ったの。」

「‥ナナ‥」


あの時‥本当に苦しかったし辛かった。

ハルトを見た瞬間、

ハルトを見つけた瞬間、

私の胸はドクンって大きく高鳴ったよ。


それは、

傷と‥

───恋‥。



恋には傷がつきものなのかな?





「でもさハルトさんの気持ちはこれでわかったじゃない?」


ヤヨの声は低く落ち着いていた。

感情を抑えているのか、

それとも感情をなくしたのか、

それはわからないけれど、

どこか温かみのない声‥。

でも、その時ヤヨのそんな小さな変化に私は気付く余裕はなかったんだ。


「ハルトさんには他に女の人がいるってわかったんだから、だから諦めた方がいいよ。」


「‥そうなのかな‥」


私はそう言うのが精一杯。

「そうだよ。これがハルトさんの答え、ハルトさんの気持ちなんだよ‥」


ヤヨはそういうと小さくため息をついた。