ズボラ女が恋する瞬間

「泉さん」


いつものように仕事に追われ、パソコンと向き合っていると声を掛けられた。

振り返ると、見覚えはあるが、名前の出てこない男性社員がそこに居た。


「えっ・・・と」

「経理の須賀です」


須賀さん?

名前を名乗られても、あまりピンっとこない。

それに、経理の人があたしに何の用でしょうか?


「何か?」

「お話があるのですが、時間はありますか?」


時間?

作ろうと思えば作れるが、今抱えてる仕事の納期もある。

無駄な残業はなるべく避けたいのが、正直なところだ。


「急ぎですか?」

「どちらかと言うと、そうですね」


悩んだ挙句、あたしは席を立つ。


「すいません。ちょっと外します」


近くにいた人に断りを入れ、席を立つ。