ズボラ女が恋する瞬間

そして、その場を後にしようとした。


「帰んの?」


三浦は、先ほどと同じ質問をあたしに向ける。


「電車あるうちに帰らないと、タクシー代もバカにならないんで」

「ホント、変わった女だな」


は?


「懇親会なのに、早々に帰るなんて」

「別に他の部署の人たちとの仲を深める必要もないんで」


あたしの言葉に、三浦は鼻で笑う。

あたし、バカにされた?


「お前、いい年だろ」


失礼な奴。


「それが何か?」

「結婚とか、考えねぇの?」


結婚?

考えていようが、考えてなかろうが、三浦には関係ない話だ。


「三浦さんに関係ありますか?」

「別に、興味もねぇな。お前の結婚話なんて」


なら、放って置いて欲しいわ。