ズボラ女が恋する瞬間

あたしはゆっくりと、会場の中を見渡す。

みんな、気合入ってるなぁ。

美緒の言う通り、ここで出会いを探しているのだろう。

出会い、か。

いつもよりオシャレをし、可愛く着飾った女の子たちが羨ましい。

男性社員から声を掛けられ、楽しそうに話している子たちを見ると、自分だけ置いて行かれたような気がする。

・・・帰ろう。

ここに居ても、惨めになるだけだ。

そう思い、静かに会場を出る。


「帰んの?」


声のした方に視線を送ると、煙草を吸っている三浦が居た。


「お疲れ様です」


あたしは当たり障りのない挨拶を、三浦に向けた。


「あぁ。お疲れ」


三浦の返事を聞き、軽く頭を下げる。