ズボラ女が恋する瞬間

「あかりのは、恋って言っちゃダメでしょ。実家を出て、いつ帰って来るかわからない息子の帰りを待つ母親みたいなもんじゃん」


母親って・・・


「今朝も言ったけどさぁ・・・」

「わかってる」


あたしは美緒の言葉を遮り、話を終わらせようとする。


「ちゃんと、わかってるから」


そろそろ、このままじゃイケないって・・・


「なら、良いけどさ」


美緒は、まだ何か言いたそうな顔をしている。

だけど、そこに調度良く人が現れる。


「佐倉さん」

「ホラ、呼ばれてる。言って来て」


あたしの言葉に、美緒は渋々その場を後にした。

美緒の後ろ姿を眺め、あたしは心の中でホッとため息を零した。