ズボラ女が恋する瞬間

「泉にしては、珍しい定時上がりだね」

「これで帰れたら、どれだけ嬉しい事か」

「逃がさないよ」


なんて満面の笑みで、田村さんに腕を拘束される。


「田村さん、そんなに懇親会行きたいんですか?」

「もちろん。仕事仕事の毎日、たまにはイケメンを拝んで、目の保養しないと」


なんだそれ。


「ここにもイケメンいまーす」


ハイテンションで、あたしと田村さんの間に入って来たのは同期の今村尚人(なおと)だ。


「尚人、イケメンだったんだ」


入社して5年も経つのに、イケメンだと思ったこともなかったわ。


「あかりは三浦さんのことを見過ぎてるから、そう思うんだよ」


そこで、なんで三浦が出てくんのよ。