ズボラ女が恋する瞬間

そしてテーブルの並べられた料理たちを摘まみながら、みんなでアルコールを交える。

大翔と新井が仕事の話を始めたのを合図のように、美緒が口を開く。


「どうなの?」

「何が?」


いきなりの主語も何もない質問に、あたしは聞き返す。


「色々よ」


色々と言われても、返答に困る。


「大翔と付き合って、幸せなの?」


幸せと聞かれても、正直よくわからない。

恋愛なんて、あたしにはそれはそれはご無沙汰なモノで・・・


「よくわからないけど、楽だよ。昔と違って」


大翔と過ごす時間たちを思い出し、自然と笑みが零れた。


「そう。そんな風に笑えてるなら、もう大丈夫ね」


美緒は、どこか安心したような笑みを零した。