ズボラ女が恋する瞬間

気付くと、デザイン部の人間は部長、田村さん、あたしだけになる。

嘘、でしょ?


「どんな指導をしたら、仕事を放り投げる人間が育つのだか」

「申し訳ありません」


営業部の部長の言葉に、部長は頭を下げる。


「謝罪は結構です。企業との信用問題になりますから、期日は守ってください」


焦りだす営業部の人たちを余所に、営業部の部長はただこちらを追い詰める。

そして、そのまま部署を出て行く。

どうしてくれるのよ、この状況!


「どうしようか?」


椅子に項垂れる部長が、とても可哀想に思えて仕方ない。


「とりあえず、あたしと泉は自分の仕事を片付けます。部長は、みんなが抱えてる仕事の期日を調べてください」


どちらが部長かわからなくなるくらい、田村さんが頼もしい。