ズボラ女が恋する瞬間

「営業さんが取って来た仕事でも、こちらの手を借りなければ形にならない」


同僚の1人が、そんなことを口走る。


「それが?」

「自分たちだけで仕事してるみたいな態度、止めてもらえますか」

「うちが仕事を取って来なければ、君らの仕事はない。君らの存在意義を作っている我々に、こちらはもっと感謝して貰いたいぐらいだ。文句ばかり言っていないで」


営業部の部長が言っていることは、確かに間違えではない。

でも、感謝するのはお互い様じゃないだろうか?

どちらかだけと言うのは、可笑しな話だ。


「わかりました。なら、全部営業さんがやれば良いんじゃないですか?うちの仕事も」


そう言うと、1人がパソコンの電源を切る。

そしてその子に便乗するように、1人、また1人と・・・


「部長溜まった有給があるので、消化します」

「俺も」

「わたしも」


そう言うと、荷物を手に同僚たちが出て行く。