ズボラ女が恋する瞬間

身支度を整えるあたしのことを、三浦がジッと見つめる。


「そんなに、見ないでください」

「悪い」


そう言いながらも、視線を逸らす気はないらしい。


「お前。メイクしても、そう変わらないんだな。初め見た時は、オシャレしてって思ったが」


何それ。

無意味なことをしてるって言いたいわけ?


「一応女なんで、それなりに身なりに気を遣おうと思いまして」

「お前にも、一応あったんだな。女心ってやつ」


ありますとも!!

一応あたしも女ですから!!


「あの、三浦さんって本当に失礼な人ですよね」

「そうか?」

「はい」


自分で気づいてないとか、どんだけデリカシーがないのだろう。

普通メイクとかしたら、可愛いとか言ってあげるだろ。

それなのに、変わらないって・・・