ズボラ女が恋する瞬間

高鳴る胸に、変な期待までしてしまいそうになる。

立ち止まり、車を眺めていると、運転手が降りて来る。


「よ!」


片手を上げ、スーツ姿で現れる男に悔しくも嬉しくなる。


「何してるんですか?」

「待ち伏せ」


待ち伏せ?


「此間、なんで勝手に帰った」

「なんでって、仕事だったんで」

「お前、何時から仕事してんだよ」


呆れたように、鼻で笑われる。


「起きた時に居ねぇは、連絡先は知らねぇは、ホントなんなのお前」


なんなのと言われても・・・


「あの次の日から、出張だった。で、その出張から今帰って来た」

「それは、お疲れ様です」

「どーも。で、その間お前は何してたわけ」


何って、こいつ人のことバカにしてる?