ーー桜が華やかに舞い、ザ・入学式という雰囲気を出していく中、私は教室で何故、冷や汗をかかなければならないのか。




「えっと・・・どちら様でしょうか?」

「神崎涙(かんざきるい)、これでもう分かると思うんだけど」


巷で噂の「クール男子」と呼ばれるような態度をする神崎涙。

だが、「神崎涙」というイケメソは私の頭の辞書の中には無い。
つまり、誰か分からないという事だ。


どうしよう。マジで分かんねえ。



「か、神崎くんは、私と会った事があるんですか?」

「・・・・・」


ーーこういう時に人見知りモード入るなよ!!!


そう、脳内で叫びながら神崎を見つめる。

いや、マジで知らねえ分からねえ。



「別に・・・。覚えてないなら話し掛ける必要は無かったようだし」


そう言うとスタスタと席へ戻っていった。

恐らく、一度や二度、会ったことがあるのだろうが私の記憶には無いため分からない。


ちらりと神崎の席の方を見てみると頰を染めた女子が数人駆け寄ってきゃっきゃ奇声をあげていた。



ーーイケメソ許さん。