遅咲きの恋

「稜也……引き返すなら……今しかない……」

「亜樹……?」

「私と一緒にいるって事は……皆を裏切った事になる。
もし、私たちがこのまま愛を貫いても……誰からも祝福されないし……。
皆を裏切った事を一生、後悔すると思う……」


涙で言葉が詰まる。
それでも言わなきゃいけないんだ。

私が、私たちが選ぼうとしている道は。
決して幸せなモノなんかじゃないのだから。

稜也の目を見つめて。
全てを吐き出す様にぶつける。


「それでも……私を好きでいてくれる……?」


これが最後の確認だった。

私たちの運命は貴方のたったひと言にかかっている。

最後まで、貴方に辛い決断をさせるなんて酷だけど。

それでも、聞かなければいけないんだ。

ぎゅっと唇を噛みしめれば。
貴方はフワリと笑みを浮かべた。

そして、細長い綺麗な稜也の指が。
私の唇を割り込んでいく。

昨日と同じ様に。
私の唇から血が出ないように優しく止める貴方。

そのまま稜也は小さく口を開いた。