「何言ってんのよ、そんなわけないじゃない。」
私は葵から目をそらして言った。ずっと会いたくて、話したくて、寂しくて。そんな気持ちを久しぶりにあって、簡単に見抜かれてしまうのはなんだかとても嫌だった。

「そっか。だよな」
葵はそういうと、少しさみしげに笑ってあーーっと大きな声で叫んだ。
「やっぱ、すっきりすんなー。」
「そう?そういえば、昔はよく友達と喧嘩したら、悪口叫んでたよね」
バカみたい、って笑う私を葵はなんだとコノヤローっと言いながら、頬をつねる。
「陽花、俺がいない間に何があったんだよ」
いきなりの質問に、私はうまく返事ができなかった。葵は、私から目をそらさない。
「何って、そんな事件とか起きてないよ」
「お前、俺と会う前みたいになってんじゃん。また、白黒つけたがって感情持たずに生きてないだろうな?」
葵がいなくなって、葵がいたから輝いていた学生生活がなくなって人と関わることが苦手な私が、友達って呼べる子を作ることは出来なかったんだよ。だから、強がって周りの人には上から目線になっちゃって裏では「クールビューティー気取りなお嬢さん」なんて、呼ばれちゃってるんだよ。
辛くて悲しい気持ちばかりが、心を支配しちゃってるんだよ。でも、こんな気持ち隠してなきゃ力の強いひとに簡単に潰されちゃうよ。
そうやって葵にいいたかったけれど、言えなかった。結局、私は
「大丈夫よ、こっちの方が私らしいでしょ。」
と言って屋上のベンチに座った。