6時を知らせる目覚まし時計が勢い良くなる。「うるさいなぁ。。」
カチッと音をとめる。女子力のかけもない寝相だ。布団はぐしちゃぐしちゃだし、頭の中もぐしゃぐしゃだ。
「陽花、ご飯できたよ〜」
お母さんの私を呼ぶ声が聞こえる。
今日から学校だ。月曜日はいつも憂鬱。
制服を着る時は、スカートを折る。カッターシャツはスカートから出す。顔にはファンデーションとチークとリップ。
リボンは緩めてとめるのが当たり前だ。本当は制服の着方なんてどうだっていい。
だけど、周りに合わせていた方が楽だからそうする。
受験が近いから、勉強しなきゃ。人間関係に波風立てないように、言葉使いは悪くしなきゃ。女の子は「女の子」っていう子が嫌いだから。

「行ってきます。」
ちょっとご飯は〜?ってお母さんが玄関まで、大きな声でいうけれど無視。
毎日、淡々と過ごす。やれと言われたことに対して、やり。付き合いたくもないカフェに付き合って。心の底から笑うなんていうことのない生活。ストレスばかりが蓄積し、やるべき事をやれない。
自分のことを嫌いになってしまいそうだ。
でも、そんな時は私にも心のもやもやを吹き飛ばす秘密の場所がある。
「はぁ〜、疲れたぁ。」
ドサッと勢いよく座って、両足を前に出して宙に浮く。電車が見えて、人通りの少ない公園。1つだけあるブランコに乗って、目を閉じる。
車の音と、自転車の音。真っ暗な闇。
「もう、こんな事考えていたくないよ…。」

「お前は、本当の自分をさらけだしたことがあるのか?」
ぼそっと言った私の言葉に、答えた奴がいた。
ゆっくり目を開けると、そこにいたのはジーパンにVネックのTシャツを着た割とかっこいい男だった。