あの夏に僕がここへ来た理由




海人は、台所に立つひまわりの後ろ立った。


「今日はごめん。

僕は全てにおいて自信をなくしてたみたい。

僕が育った時代は、男が、女性や子供達を守るように教えられてきた。
実際、僕の家は父親が居なかったから、僕は人一倍その気持ちが強かった。
だけど、今、一文無しの僕はひまわりさんがいないと生きていけない。
その事実が、今日、大きく重く僕にのしかかってきたんだ。

僕は過去へ戻ることだけをずっと考えてたけど、でも、今の僕はこの時代を生きている。

その事を今日、良平さん達に会って痛感したよ。

ひまわりさん、僕、働くよ。

僕みたいな人間でもできる仕事があると思うんだ。
そして、早く自立してひまわりさんの彼氏だって、堂々と言えるようになりたい」


ひまわりは手を止めて、海人の話をじっと聞いていた。
そして、振り返り海人を見た。