「ひまわりさん、僕は良平さんに何も言えなかった・・・
本当は、ひまわりさんの事を、守ってあげなきゃいけないのに・・・
でも、よくよく考えたら、もし、僕の妹達が僕のようなわけの分からない人間とつき合ってたとしたら、きっと、僕も良平さんと同じような態度をとったかもしれない」
海人は、遠い過去に思いを馳せているような目をして言った。
「海人さん、そんなことを思わないで。
だって、海人さんは、何も悪くない」
「本当は、はらわたが煮えくりかえるほどむかついてるんだ。
それが何になのか、自分でも分からない。
良平さん達になのか、自分自身になのか・・・
でも、きっと、正々堂々と胸を張って生きていけない今の自分が許せないんだ。
故郷もない、家族もない、住む所も、お金もない自分自身が・・・
僕は、早く、ひまわりさんに見合う男になりたい・・・」
そう言うと海人は立ち上がり、散歩に行くと一言残して出て行った。



