「実は、海人さんは、部分的な記憶喪失の病気なんだ。
だから、あまり質問しないでもらいたいの」
ひまわりは悪びれずことなくそう言った。
「記憶喪失??
それっていつから?
ひま、大丈夫なのか?」
良平は二人の嘘を見抜いているかのように、質問を浴びせてきた。
「大丈夫なの。
この海の近くでゆっくりすれば、少しは良くなるかなって私が来させたの」
ひまわりは、必死に海人を守ろうとしている。
良平は、きっと、ひまわりのことが好きなのだろう。
良平のひまわりを見る眼差しは、それを物語っている。
この時代に僕の過去はない。
僕はこの間生まれたといっても過言じゃないから。
でも、僕は20歳の青年であり、今の僕はひまわりへの愛で溢れている。
僕は、良平に、何か勝っているものがあるのだろうか・・・



