あの夏に僕がここへ来た理由




しばらくすると、外の駐車場に車を停める音がした。
そして、賑やかな声が近づいてくる。


「ひま~、さくら~、いる~?」


玄関先で大きな声がすると、さくらは嬉しそうにそこへ向かって走って行った。


「ひまわりさんは、行かなくていいの?」


海人が聞くと、ひまわりは首を横に振った。


「早く帰ってもらうから、海人さんは心配しないでいいからね」


ひまわりは気丈にそう言った。


さくらと並んで入ってきたのが、良平だった。
良平は海人を一瞥しただけで、すぐにひまわりの方を見た。


「ひま、久しぶり。

なんかまた大人っぽくなったじゃん。
あ、こいつは俺の大学の後輩で山田浩太っていうんだ」


そう言うと、良平は後ろに隠れている髪を金色に染めた男を前に突き出した。



海人は部屋の隅で静かにしていた。

何事もなくひまわりが傷つくこともなくこれからの三日が過ぎてくれればと、それだけを願いながら・・・