あの夏に僕がここへ来た理由





「ただいま」


ひまわりが言うと、居間の方からさくらの声がした。


「おかえり」


さくらは、庭仕事に飽きたのかソファに座ってテレビを観ていた。


「海人さんは?」


ひまわりがそう聞くと、さくらは庭を指さした。
ひまわりは少しホッとして「お昼にしよう」とさくらに言った後、まだ庭にいる海人を呼んだ。

ひまわりが買ってきたパンを3人で食べていると、さくらが思い出したように言った。


「あ、今日、お兄ちゃんが大阪から帰ってくるんだ」



「え、今日?」



「うん、今日。
それで、そのままここへ来るって言ってた。
お友達も一緒だって」


さくらはジュースを飲みながら、海人を見てこう言った。


「海人さん、お兄ちゃんが来たら、ちょっと面倒くさいかもしれないよ。

だって、お兄ちゃんはひまちゃんの事大好きなんだから・・・」



「そんなことないよ。

さくらと一緒で、妹感覚なの。
それにそれは小さい時の話でしょ」


ひまわりは少しむきになってそう言った。。


「さくら、余計な事を言わないで。
海人さんが変に意識しちゃうじゃない」