あの夏に僕がここへ来た理由



ひまわりが驚いて振り向くと、そこには年老いたおばあさんが立っていた。


「あ、すみません。
私は、佐藤ひまわりと言います。

今日は、海人さんに会いにきました」


そう口走ってしまったひまわりは、慌てて言い直した。


「祖父が、海人さんと知り合いだったようで・・・」


また、嘘をつくしかなかった。

しばらく不思議な顔でひまわりを見ていたその女性は、笑顔を見せて、


「兄のことを覚えていてくれてありがとう・・・」


と言って、ひまわりに丁寧にお辞儀をした。


妹・・・・

ひまわりは、涙がこみ上げてきた。


きっと、一番下の妹だ・・・
海人が目を細めて、いつも私に話をしてくれた・・・
とても可愛いくて、僕の膝の上にすぐに乗ってくるんだと・・・