9月の残暑が残る暑い日だった。
ひまわりは電車とバスを乗り継いで、海人が暮らしていたはずの町にようやく辿り着いた。
山に囲まれているために、東京より幾分涼しく感じられた。
町役場前のバス停で降りたひまわりは、まずは役場で木内家について尋ねてみた。
しかし、今は個人情報の保護ということで、他人のひまわりには何も教えてくれなかった。
ひまわりは、海人から小さい頃によく近くのお寺で遊んだと聞いた。
役場でこの町の観光マップをもらい、お寺巡りをすることにした。
親切にも貸し出し自転車があるということで、それを借りてお寺に向かった。
小さい町なので、お寺の数も2か所しかない。
最初に訪れた所は、町の観光スポットになっている比較的大きなお寺だった。
平日のために、参拝客はほとんどいない。
ひまわりは住職を見つけ、海人の所在を尋ねてみた。
木内という姓はこの地域にはそういないらしい。
そして、ここの住職は海人の名前に心当りはないということだった。
ひまわりは深々と頭を下げて、また、次のお寺へと向かった。



