ひまわりはサチに頼まれて、海人の部屋の片づけをした。
サチはもう海人は帰ってはこないんだよと、ひまわりを何度も説き伏せた。
ひまわりは自分の心の整理はつかないまま、半信半疑で、海人の物を箱に詰めた。
海人は、何も残していなかった。
Tシャツと短パン、下着が一組と、洗面道具。
部屋は綺麗に片付いており、ひまわりは何もすることがなかった。
海人がいつも座っていた座椅子に腰掛けて、この部屋で一緒に過ごした時間を思い浮かべた。
ひまわりは目を閉じ、海人の笑顔を、声を、一つ残らず脳裏に焼き付けた。
私は、海人を絶対に忘れない・・・
そう心に誓って目を開けてみると、海人の着替えの横に小さな紙の袋を見つけた。
それは、近所のスーパーの紙袋だった。



