「ひまわり、驚かせないでくれよ。
あんな所に荷物を置いてるから、何かあったんじゃないかって思うだろ」
海人は心底ホッとして、脱力感で手を膝につきため息をついた。
「ごめんなさい。
海が見たくなって、荷物は重たかったから置いて来ちゃった」
ひまわりの奔放さは魅力的だが、たまに不安もつきまとう。
「早くバスに乗らないと暗くなるよ」
海人がそう言うと、ひまわりはプイと横を向いた。
「分かってるから。
海人さんは、仕事に戻っていいよ」
機嫌を損ねるひまわりは、本当に可愛かった。
「なんでそんなに不機嫌なの?」
海人が尋ねると、ひまわりは黙ったままだった。



