サチはそう言うと、海人に行っておいでと外を指さした。
海人はサチに心を見透かされているのではないかと思いつつ一礼して、外へ飛び出しバス停へ向かった。
しかし、バス停に着いたものの、ひまわりの姿はなかった。
海人は間に合わなかったと思いバス停近くの自動販売機で冷たいお茶を買って、民宿へ戻ろうと歩き始めた。
すると、歩道の脇にひまわりが持っていた荷物が置いてあった。
海人はひまわりに何かあったのではないかと思い、うろたえながら周辺を捜し回った。
海人が海の方に目をやると、海岸を見下ろせるブロック塀の上に座っているひまわりを見つけた。
「ひまわり」
海人が大きな声で呼ぶと、ひまわりは目をぱちくりさせてこちらを見た。
「海人さん、どうしたの?
仕事は?」



