あの夏に僕がここへ来た理由




ひまわりは後ろから抱え込むように海人に抱きしめられ、海人の甘い吐息がひまわりの首元をくすぐるのが分かった。

ひまわりは体の向きを変え、海人の顔が見えるように寄りそった。
海人は髪が少し伸びたせいで、大人っぽく見える。
笑うと出てくる八重歯の場所を探しながら、手を伸ばして海人の口元にそっと触れてみた。

それでも目を閉じて眠っている海人の顔をじっくり眺めていると、急に海人は目を開けひまわりを見て笑った。


「僕の顔に何かついてる?」


海人はふざけながらまたひまわりを抱きしめた。


「僕も、ひまわりの顔が見たい」


そう言って海人はひまわりのくちびるをなぞりながら、そっとキスをした。