浩太は、ゆっくりと話し続けた。


「あの海水浴に行った日、ひまわりさんと先輩がちょっと喧嘩してひまわりさんが帰るって言ってた時、あの時、先輩、どこかの電話番号を調べてたんです。

ちょっと離れたところに僕はいたんだけど、それでもなんとなく聞こえたんです。

民宿あおさの電話番号を教えてくださいって言ってた。
民宿?って僕は思ったから、頭に残ってたんです。

でも、そこに海人さんが居るのかどうかは僕は全く分からないけど、一つの情報としてひまわりさん達に教えなきゃと思って」


ひまわりは、携帯を握る手が震えているのが分かった。


「浩太さん、本当にありがとう。

とにかく、すぐに、確かめに行かなきゃ」


ひまわりが動揺して話していると、さくらがひまわりの手から携帯を取り上げた。
そしてもう一度、浩太から詳しい事を聞いていた。


海人に会えるかもしれない。
海人に会いたい。


ひまわりは、帽子をかぶり玄関へ向かって走り出した。