あの夏に僕がここへ来た理由




小さなサッシの向こうは海が間近に迫っていた。

今日、ひまわりは「すぐに帰るね」と言って、海へ出かけた。
そして、海人は「いってらっしゃい」と言って、笑顔で送り出した。

海人は家に帰ってきたひまわりのことを思えば心が引き裂かれそうだった。


この選択が正しかったのか今の僕には分からない。
でも、確実に、ひまわりを傷つけてしまったのは分かっている。


海人はぼんやりと海を眺めながら、自分にとってひまわりがどんなに大切だったかを痛いほど思い知らされていた。


ひまわりは、僕を捜して泣いていないだろうか?


海人は、心に穴が開いた気分だった。
ひまわりに会いたい気持ちで押しつぶされそうだった。


この時代にやってきた僕に温かく手を差し伸べてくれた唯一の人。
こんなに短い間に僕の心を捉えて離さない人。
そして、こんな僕を愛してると言ってくれた人。



海人の方が堪えきれずに泣いた。