あの夏に僕がここへ来た理由





「3年前に旦那が死んでからは、夏休みの繁忙期は大学生の孫が来てくれてたんだけど、今年は就職活動とやらで来れないって。

で? どうする?」



「僕は身寄りがなくて住むところもなくて、でも、働きたい気持ちは人一倍あります。

こんな僕でも雇ってもらえるのなら、一生懸命、頑張ります」


海人は、嬉しくて、胸の奥がじんとしていた。


「そしたら決まりだね。
今日は、夜から働いてもらうからね」



「はい。
ありがとうございます。

あ、それと、何とお呼びしたらよろしいですか?」



「若いのに、言葉が固いんだね。

私の名前は青田サチ。
じゃ、サチさんでお願いします」


サチは、また笑った。

海人は奥の部屋に案内されて、しばらくそこで時間を潰した。