海人は海沿いの小さな民宿の前で、良平の車を降りた。
ひまわりに何も言わずにきたことだけが心残りで胸が苦しくて、海人は中々前へ進めなかった。
良平の車は、海人を残しひまわりの元へ向かっている。
でも、僕は今のこの情けない僕を捨てるために、ここへ来た。
早く一人前になってひまわりを迎えに行けるように、僕はここで頑張るしかないんだ・・・
国道から右に入って、海に面したところに「民宿 あおさ」は建っていた。
外観はかなり古めかしくこじんまりとした、小さな民宿だった。
「すみません、こんにちは~」
海人は大きな声で挨拶をしたが、奥はガランとしていた。



