【短編】ベランダを超えて




いつもの甘い笑顔じゃなく、真剣な目。

それでもわたしはその気持ちに答えることができなかった。


「ゴメン滝瀬くん……わたし…好きな人いるんだ。」

「そっか。」

まるで、結果が分かってたみたいにあっさりとした滝瀬くんの言葉。

「好きな人って、隣の家のあの人だよね。」

ああ、なんでわかっちゃうんだろ。

「たまに帰りに会ったとき、南さん、あの人ばっかり目で追ってたから。」