【短編】ベランダを超えて



「今日もありがとう。」

いつもこう言って別れるんだけど、今日は違った。

「待って。」

玄関を開けようとしたわたしの腕をとって、彼は言った。

「南さんなら大分前に気付いているんだと思うけどさ。」

ほんのり赤く色付く滝瀬くんの頬。

「南さんが好きなんだ。俺と付き合ってよ。」