夏を殺したクラムボン




莉央の号令を終え、女子と男子はそれぞれの更衣場所となる教室に向かう。



成海がリュックから体操服を出し着替え始めると、すでに体操服に着替え終えた窪田が自分のリュックを手に机に寄ってきた。



「部活、一緒に行かね?」

「良いけど」



白い体操服に着替えた成海は窪田と連れ立って体育館前に急いだ。すでに数十人が体育館前のバスケ部のスペースに集まっており、後輩たちが2人に駆け寄る。



先輩、後輩への決まりごとの挨拶を終え、2人がリュックをコンクリートの床におろすと部長が集合をかけた。



「今日は外周を7周走ったやつから解散!」

「はい!」



1年生は校門に向かって駆け出し、2年は散り散りになりながら校門へ歩いて行く。



ふと成海が校庭を見ると、校庭の端でバッティング練習をする詩織と、テニスラケットでノックをあげる莉央がいた。



窪田と並び、K中学校の周りを走る。



「……前は、浜田、も、いたのに、な」



息を荒げ、窪田は呟いた。以前、周から聞いた言葉が成海の脳内で再生される。



『犯人はこの街に2人いるのよ』



……昨日、猫を殺した犯人は
クラムボンじゃない。



「あと、2周か。ここから、競争、しようぜ」



窪田が提案すると成海は黙り、答える代わりにスピードを上げた。





のろのろと走る同級生たちを抜かし、2人は夏風を追い駆ける。