夏を殺したクラムボン




しばし成海はゴミの海を見ていたが、やがて諦めたように大息を吐き、ゴミの分け目へと手を伸ばした。紙や消しカスなどのゴミを掻き分け、成海は無表情に臭いの元を探す。



そして腕がゴミ箱の半ばまで埋まったとき、右手にぬめりのある液体が触れた。左手で周辺を探ると、薄いプラスチックの感触を掴む。



柔らかなプラスチックが破れないように丁寧に取り出し、成海はそれを目前に掲げた。



血生臭い黒い液体にまみれたそれは、透明なビニールの袋だった。



袋の入り口を開けた瞬間、腐臭が成海の鼻を刺激する。ビニール袋の内側には、黒い液体に濡れた短い毛が、無数に張り付いていた。



……見つけた。



辺りに人がいないことを確認し、彼は野良猫の血にまみれたビニール袋を再びゴミの中に埋めた。



次にゴミ袋の口を括り、左手の血がつかないよう廊下へと運ぶ。



しかしこもった血の臭いはごまかすことができず、窓のひとつを半分ほど開け、手が当たらないようにリュックの肩紐に腕を通した。



……確か、“あいつ”は今日、『……』だと言っていた。だとすると、やっぱり1番可能性が高いのはあいつだ。推理が合っていれば、一度で犯人を特定できる。



罪を葉月になすりつけたってことは、犯人は、自分が猫を殺したってことをみんなには知られたくないはずだ。……証拠がないなら、引っ掛ければいい。



チョーク箱の中を探り、赤いチョークを持つ。










寂びた教室の扉の鍵を閉めた。



鍵を職員室に返却し、成海は校舎の裏のダストボックスへゴミ袋を持っていく。