校庭は普段と同じように賑わっていた。
バレー部が校庭の隣の芝生でレシーブの練習をしており、吹奏楽部が2階の窓から彼女らの練習を眺めている。
陸上部の男子が走り高飛びをし、空を舞う。野球部のボールが高く上がる。
また、野球部のとなりで、掛け声をあげソフトボールを投げる詩織がいた。
……今日は、部活を休んだほうがいいかな。
階段を上がるにつれ、吹奏楽部の美しい演奏が近づいていった。彼らは最上階の1年の教室で演奏をしているのだろう。
3階にある2年の教室には、ただひとつの人影すら見つけることはできなかった。
校舎の端にある2年4組は靴箱からも遠い。
締め切られた扉を開けると、こもっていた熱気が一気に溢れ出した。生ぬるい風の中に、微かに血の臭いが混じっている。
窓際の成海の机の上には、忘れ去られたかのようにリュックとバッシュを入れる黒いシューズケースが置かれていた。
「この臭い……」
リュックにバッシュケースをしまいつつ、成海は腐敗したような血の匂いの元を探す。
……朝、猫が殺されていたからその臭いかとも思ったけど、こんなに臭うのはおかしい。でも、教室のどこにも異常はない。掃除ロッカーの中も、臭いは変わってない。
だとしたら。
成海は教室の前に設置された青いゴミ箱の中を覗き込み、ここが匂いの元であることを確信した。上から見るだけでは日常とは変わりなく、ティッシュペーパーや授業中に配られたプリントなどが丸く潰され、捨てられている。



