夏を殺したクラムボン




カーテンはよく効いた冷房の風を受け、穏やかに波打っていた。壁に掛けられた丸時計は4時45分を指し示しており、成海が約30分の間眠っていたことを語っている。



保健医は白衣のポケットから出した体温計を成海に手渡し、眼鏡を中指で押し上げた。



「体温を測ってくれ。顔色は大丈夫そうだな」

「……これ終わったら、帰ってもいいですか」

「まだしんどいなら親御さんを呼ぶが。1人で帰れそうか?」

「はい」



体温計が鳴るのを待っている間、何気なく保健医の紙を覗き込むと、空いたスペースに幾つかの落書きが描かれていた。



保健医は悪ぶれることなく



「ま、あとでちゃんとした紙に写すからな」



と、さらに落書きを足していく。



ぼんやりと待っていると、体温計が短く鳴った。



「えーと、36点……ま、平熱だな。ゆっくり立つんだぞ」



成海は地面におり、扉へと歩行する。



「そういえば、僕のリュックってありますか」

「ん?保健室には届けられてないが……そういえば、沢田先生から鍵を預かっていたな。成海くんは多分教室に戻るから、ついでに鍵を閉めておいてくれ、って」



……教室か。



保健医に教室の鍵を渡され、成海はそれをポケットに入れた。



外に並べられた靴を履き、椅子にかけて脚を組む保健医に棒読みでの礼を言う。



「朝は食えよ、少年!」



保健医の声を背に受け、成海は吐息をついた。