「……な、なに?」
――我に返った莉央は成海に見えないよう腕をさすり、苛立ちまじりに舌を打つ。
「なんでそう言い切れる訳?本当に意味わからない……気持ち悪い、なんで?」
「あのさ」
成海は教室の方を向いて窓際にもたれかかり、冷たい感情のない声で問いかける。
「浜田の葬式の日に犬を殺したり……朝、猫の死骸を葉月の机に入れたりしたの、真木?」
「……はっ?そ、そんなもの、違うに……」
莉央が言葉を紡ごうとした瞬間、扉が開き沢田が入ってきた。
「……待たせて悪かった。じゃあ、成海と真木、説明してもらおうか。成海、こっちこい」
莉央は固く口を閉ざし、眉間にシワを寄せて机の上の落書きに視線を固定する。成海はおとなしく莉央から一つ離れた席に座り、沢田は2人に向かい合う椅子に腰掛けた。
「葉月はどこだ」
第二理科室を見回し、沢田は生徒2人に尋ねた。
「……知らない」
そう答え、成海は頬杖をつく。沢田は呆れたように顰蹙していたが、やれやれと首を振り2人に向き直った。
「まず状況確認。朝のことを全部話せ、真木」
厳しい顔で問いただす沢田から目を背け、莉央は悔しげに拳を握り、小さく言葉を綯うた。
「……あたしは、悪くない」



