夏を殺したクラムボン













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1限目が終了し、休み時間になった。



朝の教室で起こったことは瞬く間に校舎中に広がり、2年4組の誰かが、得体の知れない犯人のことを『クラムボン』と呼んだ。



クラスメイトたちはなんとはなしに成海を避け、憶測を飛ばしている。





『犯人は葉月 周か、成海 諒か』





成海が頬杖をつき漠然と空を見上げていると、窪田が作り笑いを浮かべ、彼の肩を叩いた。




「なぁ、クラムボンって誰なんだろな」

「……クラムボン?」

「あ、成海は知らないか。犯人、クラムボンって呼ばれてんだよ。……浜田を殺したのも、浜田が死ぬ前からずっと、……が殺されてるのもそいつの仕業だって」

「……アホらしい」



そう言うと窪田は目を逸らし、服の中に風を送り始めた。密やかな声に満ちた教室で、窪田以外は誰も成海に近寄ろうとはしない。



……葉月はいつ帰ってくるんだろう。



成海は扉を見やるが、他クラスの生徒が行き来しているばかりで周の姿は見当たらなかった。手のひらからほおを離すと、窪田が軽い口調で引き続き成海に話しかける。



「てかさ成海、聞いてくれよ。マジで最悪。今日部活なのにバッシュ忘れて、ケースだけ持って来ちまってさ……」



窪田が指差したのは、自らの席の横にかけられた箱型のバッシュケースだった。成海は短くそのケースを見つめ、目を細める。



「あっそう。体育シューズでやれば?」

「それでもいいんだけど……あぁ、うん、そうだよな」

「それより、ひとつ訊くけど」



成海は自身の癖毛に触り、無感情に尋ねた。






「窪田が猫を殺した?」






「……え、おれが?」



窪田は大きく首を振り、否定をする。



「やる訳ねえだろ、そんなこと!なんだよ、まさか、おれを疑ってんのか?」

「別に」



ふと視線を感じ、成海は辺りに目を配った。