小刻みに肩が震える。
「だから、言ったのに」
蝉の鳴き声とは裏腹に、室内の温度は霜が降りるように下がっていく。薄く埃の積もった床に座る周を見下ろし、莉央は顔を歪めて囁いた。
「殺人鬼、ってさ」
不意に、椅子と床がこすれ合う耳障りな音が響き渡った。
「……汚い」
動きを止めていたクラスメイトたちが声を辿って前を見る。声の先には、窓際の最前列から立ち上がり、無表情で猫の死骸に一瞥を向ける成海がいた。
成海はいつになく尖った視線を莉央に送り、舌打ちをする。
「誰だよ、こんなことしたの。この猫も、葬式の日のマルチーズも……やり方が汚いんだよ」
いつも眠そうに目を細めている成海の面影はそこになく、心底不快であるかのように彼は教室内を見回した。
莉央は不可解そうに眉を寄せ、周はくずおれて泣いている。窪田は呆然とし、詩織は机に腰を下ろし、険しい顔で成海を見つめていた。
「……殺してるのは、誰だよ」
成海は周を横目に、感情のない声で繰り返す。
「は?成海、こいつを庇うの?」
生徒たちは顰蹙し、莉央もまた汚物を見るように彼を見やった。奇異の目が成海を囲む。
しかし、成海は何も気にしない様子で猫の死骸のそばにつくばい、ため息をついた。



