夏を殺したクラムボン




K中学の中は校門こそ開いてはいるものの、悄然としていた。昇降口に並ぶ靴箱を眺め、そこに白いスニーカーを見つけた成海は上靴に履き替えて校舎に入る。



朝の校舎は、足音が余韻を残して反響する昼間とは別世界のような場所だった。自分が立てる足音の他は、物音一つしない。



教室の前に立ち、扉を開ける。



すると、そこには自らの席で長い髪を手櫛で整える周の姿があった。




「あ、成海……おはよう」

「うん」



周が座る席の隣に向かい、リュックを机上に乗せて椅子に座った。



成海と周以外に誰もいない教室は静まり返っている。普段当たり前のように聞こえるクラスメイトたちの声が、白い壁に吸い込まれて消滅し静寂を保っている。



成海はいつも通りの癖で頬杖をつき、リュックを床に置いて言った。



「……やっぱり、葉月は何を考えてるかがいまいちわかりにくい」

「そう?」



周は成海の方に体の向きを変え、首を傾げる。



目を逸らすと、周は脈絡なく話を変えた。



「成海は、一昨日も犬を殺した人物と、浜田を殺した人物は同一人物だと思う?」

「一昨日の?」

「状況が似すぎていると思う」



周は立ち上がると、成海の机に座った。



紺色のスカートが成海の目の前に広がり、周の透き通った声が教室に満ちる。